昆虫交尾図鑑の再炎上を見て、人を巻き込むコンテンツ管理者はハンドリング能力が重要だと再認識

koubi
昆虫交尾図鑑」っというストレートなタイトルの書籍が話題となっておりますね。流れとしては、他者の昆虫写真を模写(トレース)したという、著者(芸大生)が謝罪、そして回収へという運びで収束に向かうかと思ったら、

女子芸大生の『昆虫交尾図鑑』のトレース疑惑が熱い: やまもといちろうBLOG(ブログ)

「昆虫交尾図鑑」について - 株式会社 飛鳥新社

出版社の見解が発表!「大丈夫だ、問題ない!」などと、突然のガソリン投下によって、著者や模写された作者は「ファッ!?」、僕も胸が熱くなってしまいました。出版社のお知らせには著者からの追記として、「この件に対しての私の見解と対応につきましては、後日、改めて説明させて頂きたく思います。」と記載されている事から、弁護士が入るとどうなるのか写真素材サイトの管理人としては興味深いわけでございます。

さて、流れとしてはこのような形です。今回の記事は一連の流れで、ハンドリング能力の重要さを素晴らしく感じさせていただいたのでそれについて書いてみようと思いました。

トレースの話をちょっとだけ。


ぱくたその写真素材では、原則的に模写やトレースはOKです。

tuyoposo
モデルリリース(人物写真)のご利用規約 | すべて無料(フリー)の写真素材-PAKUTASO/ぱくたそ

人物写真素材の規約はこれ、もちろん通常の写真でも原則的に許可しております。なので、使用許諾を得ずに一般常識的な利用の範囲で使って頂いてOKです。とはいえ、やっぱり危惧する方は多くて、コラージュ作品だったり、油絵で模写させてほしいなどの問い合わせは多く頂いています。やっぱり、権利的な事で心配になっている方は沢山いるのだなーっと思う管理人です。('A')

んで、一般常識的な利用の範囲というのは、これで

iphonecase

「写真素材そのものが商品価値を決めてしまう販売物(利益をうむ商品)」については、クレジットが必要だったりと色々制限があります。まぁ、どこの写真素材サイトも似たような感じで、うちは特に甘いんですが(テンプレートにも利用可能ですしね)、写真素材をそのままの状態で利用されたら、うちはその企業の利益のために無償で提供しているのと変わらないわけで、これだけは重視させてもらっているのですよね。

だ・け・ど、

模写やトレースについては、人物や特定される範囲の著作物以外は構図を含めて、制作という範囲が作者に帰属するようなイメージがあるので、まんま写真をパクったとしても主張としては模写・トレースした側が「やってない」っと言えばやってない事として有利なんですよね。

んで、今回の本題。


では、今回の交尾図鑑がどのような形で燃え上がったか検証してみましょう。出版社が入るまでは、こんな感じです(↓)、まぁよくある 、俺ら勝利みたいな図です。

おまいらぞろぞろ

著者の見解がアレだったので、僕のようなおまいらがゾロゾロと現れてくることで話は大きくなっていくわけです。んで、交尾図鑑は著者の自費出版作品でもなく、出版社が当然絡んでおりまして、既にアマゾンから12/7発売となっております。

おいまてw

「出版する前に担当者が権利的な問題にならないか確認しとけよ!」とか色々とツッコミもありますが、本来としては著者が成り行きを発表する前に出版社へ連絡する事が最重要事項であって、その上で謝罪するなり、戦うなりすればよかったのです。

著者は「すべて回収する」という、誰か助けてやれよと思うくらい消沈しており、賠償されたときの負債を考えると出版社の「著作権に詳しい弁護士の検討を経たものです。」という、面白い見解もわからない分けでもないです。逆に炎上マーケティングで売る気なんだなと、むしろ買いたくなるレベルでございます。

ここで問題なのは、著者が発言している事と、統括しなくてはならない出版社の意見が相違していることなのですが、('A') 通常であれば、出版社も著作者の発言を加味して「模写したようです、編集担当の確認が十分にできておらず弊社の落ち度もありました、すみません。(しかし販売します。)」となるはずです。それがならなかったのです。

ハンドリングできないとこうなる。


人を絡めるコンテンツで、管理者として求められるものはハンドリングできるか否かです。またそれを遵守させるために契約書を取り交わします。例えば、うちで(ぱくたその写真素材)こういったケースがあったとしましょう。写真素材のモデルが、不正利用しているっぽいサイトを名指しで発言します!

モデル

それを見たファンの方々が、不正利用しているっぽいサイトに悪意ある突撃を勝手に開始します。

ファッなにやってんだ

ようやく管理人が気づいた頃には、モデル+ファン VS 利用者の構図が出来上がっております。まるで、今回の交尾図鑑と同じですw。んで、利用者は今回の件について「規約を確認したうえで利用した」と管理人にお問い合わせをするわけです。どうなってんだと。

問題ないですよ

結果、管理者からは「問題ありません(ギリギリの利用だけどな)」っという結論となります。


そうなると、攻撃された利用者はモデルへの謝罪を求めると同時に、このやりとりを見ていた他のユーザーからは「こんな面倒な写真素材サイトは利用しないほうがいい!」という烙印を押されてしまう可能性が高く、信頼はガタガタです。

問題ない

以上のことより、当方では予めこういう事態が起こりうるであろうと、すべての対応は管理者が代理人として行う事を義務づけています。これは不正利用だけでなく、利益ある行為にも言及しています。しかし、某モデル事務所などは承諾しないケースもあって、僕としてはハンドリングできない状態で契約するのであれば、いくら著名人だろうが契約は行わないようにしています。

交尾図鑑は著者の発言もアレでしたが、僕としては出版社がそれらを契約書に明記していたのかどうかが非常に気になるところです。人を絡めるコンテンツはそのコンテンツ自体が一人歩きするケースも往々にしてありますけれど、懸念するのは人でして、いかにハンドリングできるか、そのポリシーを持って行う事が重要なんだと再認識させていただきました。交尾図鑑は今後どのような着地点を見せるか見ものです。どちらの言い分も理解はできますが、こうはならないよう運営をしていきたいものですな。('A')ノおしまい。